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二胡之友について [二胡]

ほぼほぼ二胡のことばかり書いている弊ブログ。

しかしそんなに毎度毎度、特筆すべき二胡トピックがあるわけではありません。
ホッチキスのように、レッスンもあんまり行ってないような腐れニコラーの場合は特に。

で、これは大抵の二胡ブログがそうではないかと思うのですが、最初は二胡話中心だった
はずなのに、いつの間にかスイーツ食べ比べの記録になっていたりするものです。
それがダメって訳では全然ないのですが。
まあ、ホッチキス的にはやっぱり二胡がいいかなって。

なので、知恵を絞って二胡ネタをお送りして参ります。


えー、『二胡之友』という雑誌がございますよね。
年季の入ったニコラーともなれば定期購読が当たり前…かも知れず、
当たり前でないかも知れず、わかりませんけども。
ともあれ、そういう雑誌がある。
某SNSで「この雑誌の売上をアップするにはどんなふうにすればいいのよ」的な話題が
上がっていましたので、ホッチキスもちょっと考えてみることにしました。

ちなみに、ホッチキスは『二胡之友』をたまにしか購入しません。
これは、若い頃に本や雑誌を大量に購入し過ぎて、売っても売っても捨てても捨てても
相変わらず本だらけな自宅を見ているうちに紙媒体の購入意欲がすっかり失せ果てた
せいなのですが(今や雑誌は100パーセント電子書籍で済ませている)。

ですから、よっぽどの内容でない限り買わないよね…って感じです。
ではその「よっぽどの内容」とは何なのか。
どんな特集組んであったらわざわざ注文する気になるのか。

私はマジでたまにしか読まないのでサンプル数が少ないのですが、
『二胡之友』過去記事で最も面白かった特集は、
第35号の巻頭「在日二胡演奏家・指導者からのメッセージ」です。

二胡之友 第35号(2015年1,2月号)

二胡之友 第35号(2015年1,2月号)

  • 作者: 二胡之友編集部
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2015
  • メディア: 雑誌
品切れみたいですけども・・・


賈鵬芳、姜建華、陳敏、巫謝慧、甘建民王子やお師匠など、14名の錚々たる面子が
編集部からの質問に答える(アンケート形式)…という魅惑的な企画でございますが。
各者のお答えを見比べたりなんかすると、これはもう非常に興味深い。
めちゃめちゃ興味深い。
「いちばん好きな中国二胡曲はなんですか」とか「演奏家として生きていく上で、
最も大事にしておられることは?」とか、もうね、知りた過ぎる。興味津々過ぎる。

そういった音楽的質問に混ざって「来日して後悔したことはありますか」といった
自分史的な質問もあり、これまた興味深過ぎてたまりません。
寂しくって心細くって、中国に帰りたくなった時もあるんじゃないかしら…嗚呼!
タイムマシンに乗ってその寂しさを癒しに行きたいです王子様!
……などと、思わず力が入ってしまいます。

で。ホッチキスがこの記事で非常に印象的だったのは、「演奏家として最も大事に
していることは?」という質問項目です。

大雑把に分類すると「愛情派」と「表現派」と「研究派」、「フィジカル派」の
4つに分かれるようなのです。


1. 愛情派の回答例
・「音楽を聴いてくださる人を大切に、愛をこめている」 姜建華
・「愛」 巫謝慧
・「心」 劉継紅


愛情派の面々が全員女性であるのは、果たして偶然の一致なのでしょうか。面白いです。
ちなみにホッチキスも女性の端くれですが、鶏肉検査技師(仮)として生きていく上で
最も大切にしていることは?…と訊かれたら、「絶対に、愛ではない」と
自信を持って回答いたします。
そりゃ、私だって鶏肉(仮)が大好きで、大好きなあまりこの道に飛び込んだのですし、
ニワトリ(仮)のことだってそりゃあ愛しています。
けれど、検査の最中とか検査準備の時に果たして「愛」なんて考えるものでしょうか。
同じ職業人として、疑問でなりません。
まあ、二胡と鶏肉検査では性質が違い過ぎるせいかもしれませんが。


2. 表現派の回答例
・「自分の気持ちを素直に音色に表現すること」 賈鵬芳
・「曲を全力で理解して表現すること」 甘建民
・「自分を感動させること」 張会斌


…なんとなくですが、「自分の気持ちを表現すること」を大切に考えておられるので、
賈様の演奏は「ああ、賈鵬芳が弾いてるな」ととってもよく分かる感じに
なるのやもしれません。
対して、自分のことよりも相手(曲)のことを考える、それも全力で!…って、
なんという王子っぷりでしょう。期待を裏切りません。好きです。


3. 研究派の回答例
・「真摯に芸術性を追い求め続けること」 王明君
・「いろいろな芸術から吸収する」 張艶
・「心を広くして新しいことも受け入れること、日々の練習と
  勤勉を続けること」 劉福君

真面目です。素晴らしいです。
ホッチキスもね、職業人としてはこうであらねばならないな…とは思うのですが、
なかなか実際には難しいです。仕事忙しかったりしますもん。
けれど理想としては、かくありたい。
なんかもはや二胡の話でなくなっている気がしますが、ともあれ続けます。


4. フィジカル派の回答例
・「心身ともに元気であること」 陳敏
・「健康な身体」 彭秀敏

まあ、これですよ。
ホッチキスも健康めっちゃ気をつけてますもん。倒れてしまったらおしまいです。
日々大事にしていて実際に手をかける部分と言ったら、やっぱりここに
なるんじゃないでしょうか。
で、思うにね。「愛情派」の人って、別に気をつけてなくても身体が丈夫
なのではないでしょうか。
元々が頑健で生命力に溢れたタイプなので、精神性に目が向くのだと推察されます。


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                 全員強そう



そして。ホッチキスは当然お師匠の回答にも注目いたしました。
我が師は演奏家として生きていく上で、何を最も大事にしておられるのでしょう。



     お師匠の回答  「普通の生活」


…ぶっちゃけ、よく意味がわかりません。
どの分類にも属さない、属することを拒むかのような、異彩を放つ回答です。
ホッチキスは長らく「普通の生活ってなんだよ」と疑問を抱えつつも
お師匠に直接尋ねることができないでいましたが。
ひょんなことから座右の銘の話になった時、お師匠はこう仰ったのです。

「座右の銘は特にないが、強いて言えば『平常心』。音楽だけではなく、
日常のことを一つ一つ淡々とこなしていくことが大切。
普通の生活を大切にしていれば、それが結果として良いものにつながっていく。
だから、演奏の時に心掛けていることは、『普通の生活』です」

ようやく理解いたしました。
今までは「イミわかんねーYO!」と思っていたのですが、大変深いお話だったのです。
お師匠は、音楽を何か特別なもの、日常から切り離され“芸術”として祭り上げられるような
ものではなく、生活や人生と重なってゆくものだと捉えておられる。

深く納得すると同時に、「これって、『二胡之友』がもうちょっと突っ込んで
聞いておけば、書いておけばよかったんじゃね?」とも思いました。
アンケート取った二胡奏者14人に、一人一人にもっと突っ込むんです。
絶対面白いはずです。そして絶対売れるはずです。
「甘建民総力特集」とか出たら、私絶対2冊買いますもん!

まずですね、手始めに最大手教室の指導者様を特集すると良いですね。
賈鵬芳特集号を組んでください。一冊全部賈鵬芳です。
楽譜もコンサートレポも賈鵬芳。アナリーゼは「睡蓮」。
教室訪問も楽器紹介も全て賈鵬芳。

グラビアとかも、あると良い。

そして賈鵬芳ゆかりの地を訪ねてください。
ジャムスが無理なら賈さんが皿洗いしてた店とかでもよいでしょう。


人に歴史あり、です。
あのアンケートをもっと掘り下げたところが、みんな知りたいでしょう?
ぶっちゃけ、「8歳から」「兄の影響」で二胡を始めて、「中央民族楽団所属」
だったんだけど「自分の音楽の幅を広げたいと思って」来日して、
「言葉」では苦労したけど、帰国したいと思ったことは「ない」。
教室は「全国8カ所で開いている」…とか、そういったことは『二胡之友』を
購入するぐらいのニコラーであれば、常識的知識として既に頭に入っているはずなのです。

そこからさらに奥深いところが! そこが知りたいのです。
極寒の地でただひたすら二胡練する小学生ライフを送っていたのか、
たまにはかくれんぼとかして遊んでたのか、いつから二胡で食っていこうと
思ったのか、楽団ではどんな胸のトキメキが、どんな筆舌に尽くしがたい苦労が
あったのか、どんな人生を歩んで、それがどう賈鵬芳の音楽として結実しているか。
それが知りたいでしょう?

巫謝慧の「姿三四郎に会いたい」という来日理由なんて、突っ込んで
話をうかがうしかありません。マジでそんな理由で海を渡ったのか。


スペッシャルな奏者別総力特集。
そんなものが読んでみたいなって。ホッチキスは夢見ております。

タグ:二胡
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